本記事は、『ノロイ』に関する考察記事です。作品の重要なネタバレのほか、他作品の呪物、怪物や悪霊を取り扱っております。こういったものに、免疫のない方の閲覧はお控えください。
本記事を閲覧することによって、起こり得た事象については責任を負いません。予め、ご了承ください。
「恐怖」とは
恐怖とは、理解できないもの、わからないもの、知覚できないもの、
そして対処できない「もの」である
「ノロイ」概要
解説
“ジャパニーズ・ホラー”の第一人者である一瀬隆重プロデューサーが、新たな恐怖の扉を開けた衝撃作。実在の人物である小林雅文氏は、怪奇現象を題材にしたドキュメンタリー「ノロイ」を完成させた。しかし製作に関わった人々に次々と奇妙な現象が起こり、小林氏本人も行方不明になってしまったことからお蔵入りとなっていた。映画化にあたっては団体名や個人名を一切伏せ、再度収録された映像を使用しているが、某人気お笑いコンビが登場するなど、生々しい恐怖を体感できる。
あらすじ
2004年4月12日、怪奇実話作家・小林雅文の自宅が全焼し、妻の焼死体のみが発見された。行方不明となった小林は、ビデオ作品「ノロイ」を完成させたばかりだった。
出典:Yahoo!映画
早い話が、日本版ブレア・ウィッチ・プロジェクト=モキュメンタリーホラー映画ですね。
考察1.禍具魂の強さ
基本的に、禍具魂は実体がない鬼神=禍ツ神(和製クトゥルフ)とされている。
嬰児(≒猿の比喩?)を召喚のエネルギーとして、巫女に乗り移り、鳩(=式神)を媒介に呪いを伝達させる。
召喚者を含む、術者サイドの防御として、犬と鎌を使う。
ただし、禍具魂が実体化した際は無意味。
しかし、作中においては、石井潤子に乗り移った後は男の子が本体である描写がある。
殺傷能力は非常に高く、無差別殺人。集団自殺など、意識を奪った上でコントロール下に置き、利用するしないは別として、最終的に殺すという流れ。
禍具魂自身の強化に関しては巫女が必要で、巫女に嬰児を食べさせるなどの行為が必要。石井潤子は、元々産婦人科に勤務しており、22週以降の堕胎手術を請け負った産婦人科での後処理をしていた。ここから、堕胎された嬰児を持ち帰ったのではないか。
考察2.小林は鳩の役割をさせられていた説
作中において、鳩は呪いを運ぶ存在と見受けられる。
怪異は、その存在の知られたいという自己顕示欲が非常に高く、「ノロイ」という映像作品を作った小林が行方不明で生死不明というのも、もしかしてコントロール下に置かれていたのではないかと思われる。
たとえば、最初に石井潤子(禍具魂の巫女役)の家を訪ねたり、霊能力者である矢野加奈が禍具魂の存在を察知した後に接触したり、松本まりかと一緒に間違った儀式を行ったり、禍具魂の本体と思しき少年を保護したり、禍具魂にとって利益のある行動を多く取っている。
何より、その存在を世間に知らしめるという禍具魂にとっての最大の貢献をしてしまっている。
考察3.禍具魂召喚や儀式は、キリスト教におけるイコンを逆転させたもの?
鳩
鳩は福音を知らせるものと言われています。しかし、「ノロイ」においては真逆で、禍具魂の呪いを伝達させる式神の役割を持っています。
嬰児(えいじ)
エル・グレコの「聖母子と聖マルティーナ 聖アグネス」というイコン作品があるのですが、これがまさに「ノロイ」の出来事を逆転させたものに見えます。
上部のマリアと幼いキリストを見守る小さな天使たちの無数の顔。これが、禍具魂における嬰児に相当するようにも見える。
また、この天使たちの無数の顔は見下げているが、「ノロイ」において、霊体となった矢野加奈を絡みつく無数の嬰児たちは、巫女である加奈を見上げている。
↑霊体となった加奈に群がる嬰児と、最強霊能力者・堀光男
↑堀の自宅を撮影中に映像が乱れ、写った無数の顔
偶然にしては、よくできている。
考察4.小林の家には、禍具魂以外にも怪異がいた可能性(新事実)
小林は、オカルト専門のルポライターであり、オカルトドキュメンタリー構成作家。という設定。
もしや、死霊館のように、呪物や怪異に関係のある品物が家の中にあるんじゃないか?と思い、見直してみた。そこで、禍具魂に小林の妻、景子が襲われているシーンに、それらしきものが映っていた。
この点は、考察サイトなどを検索かけても出てこない。
この黒いお面はいったい…?
禍具魂の鬼のお面とは異なる。
どちらかといえば、ジョジョの石仮面や、洋画「マスク」のお面(ロキ・マスク)が近い。
禍具魂には新旧の2種類いるとか、そういう類は見るが、このお面のようなものについてはなぜか誰も指摘していない。なぜだ?ただの飾りなのか?それにしては異様だ。
作中の時系列
- 下鹿毛村に移り住んだ呪術師たちが禍具魂の力で敵対する村を呪い殺していた。
- やがて強大になった禍具魂の制御が困難になり、呪術師たちはこれを封印。神主となって代々禍具魂を鎮めるようになる。
- 1978年 ダム開発を阻止するべく、最後の神主が自分の娘=石井潤子を巫女として禍具魂の儀式を実行。しかし儀式は失敗し、下鹿毛村はダム湖に沈む。神主も死亡。
- 不完全な禍具魂を宿した石井潤子、八王子で産婦人科に看護婦として就職。堕胎嬰児を手に入れて、どんどん力を強化していく。
- 2002年11月12日 石井潤子の周辺で暴走した禍具魂による怪奇現象が次々に発生。小林雅文、奥井涼子からの依頼を請けて取材を始める(『ノロイ』本編開始)。
- 2002年11月20日 石井潤子、転居。小林雅文、残された郵便物から石井潤子の名前を知る。
- 2002年11月22日 奥井涼子、娘と共に禍具魂へ取り込まれて死亡。交通事故。
- 2003年8月3日 矢野加奈、TV番組「驚異の超能力スペシャル」に出演。禍具魂の存在を霊視し、その面を描く。さらに密閉されたフラスコ内の水に赤ん坊の髪の毛を発生させる。この水は下鹿毛村跡地の長野県ダム湖から採取されたものだった。
- 2003年8月27日 小林雅文、矢野加奈を取材。番組以降、微熱が続いていることを知る。
- 2003年10月23日 松本まりか、アンガールズと共に心霊スポットである三日石集落の神社ロケに参加。しかし発狂し、禍具魂に憑依される。禍具魂が少年の姿で撮影される。放送禁止に。
- 2003年11月26日、小林雅文、トークライブ「怪奇実話ナイト」にて松本まりか、堀光男と共にゲスト参加。堀光男、松本まりかに憑依した禍具魂を霊視し「お前ヤバイぞ!」と掴みかかる。
- 小林雅文、ライブ終了後に10/23のテープを確認し、少年の姿を認識。松本まりかが撮影以後、手帳に禍具魂の紋様を描くようになった事を知る。
- 2003年12月4日 小林雅文、矢野加奈の両親から依頼を請けて取材開始。見えない誰か=禍具魂と会話をする姿を確認。「たぶんね、もう全部だめなんだよ」
- 2003年12月9日 堀光男、高樹マリアからの取材を請ける。何年も前から禍具魂の力が増していることを「霊体ミミズがそこら中にうじゃうじゃいる」と訴える。
- 2003年12月15日頃 堀光男、矢野可奈と接触を図るも矢野夫妻によって阻止される。矢野可奈、堀光男に対して「あの人は大丈夫」と発言。
- 2003年12月22日 矢野可奈、堀光男に接触するも「たすけて」の書き置きを残して失踪、石井潤子に誘拐される。後述の堀の発言から、この時点で禍具魂に取り込まれ自主的に行動していた可能性も高い。
- 石井潤子、矢野可奈を伴って大沢真一の隣室に転居。大沢真一、石井潤子に騒音を訴えるも禍具魂に取り込まれる。
- 小林雅文、堀光男と接触。堀光男、矢野可奈を霊視するも彼女が禍具魂に取り込まれた事を察知。「霊体ミミズに喰われた」と訴えて「かぐたば」の言葉を伝え、霊視した地図を託す。
- 矢野夫妻、禍具魂に取り込まれ死亡。夫が妻を刺殺する。
- 2003年12月26日 小林雅文、松本まりかから相談を受けて調査を開始。深夜、夢遊病状態の松本まりかが毛糸やコードを結び合わせ、禍具魂の紋様を作る姿を目撃する。
- 君野みどり、頭上からのラップ音に対して「床を踏んだりした覚えは無い」と主張。
- 2004年1月6日 小林雅文、堀光男の地図をもとに大沢真一と接触。矢野可奈、発見出来ず。
- 2004年1月7日 大沢真一、失踪。石井潤子、矢野可奈を伴って三日石集落へ帰還。
- 2004年1月10日 小林雅文、12/26のテープを確認して「かぐたば」の単語を認識。松本まりか、神社で聞いた言葉だと主張。
- 小林雅文、「かぐたば」について調査し、昭島大学・塩屋和秀教授から長野県 渡喜多郡 下鹿毛村に伝わる「鬼」だと教えられる。
- 2004年1月18日 小林雅文、渡喜多郡に赴き郷土史研究者・谷村敏則と接触。禍具魂についての知識を教わり、下鹿毛村で行われた最後の「鬼祭」の記録映像を確認。狂乱した巫女と接触するべく三日石集落へ向かい、帰郷した巫女が石井潤子であることを突き止める。
- 2004年1月21日 小林雅文、石井潤子に関する調査を進める。彼女が「神様の命令が聞こえた」と言っていたこと、八王子の産婦人科に勤務していたこと、中絶した赤子を持ち帰っていた噂があることを突き止める。
- 2004年2月6日 君野みどり、大沢真一、禍具魂に取り込まれて死亡。公園での七人集団自殺。
- 2004年2月 小林雅文、矢野加奈の救助と松本まりかの除霊を目的に、堀光男と松本まりかと共に三日石集落へ突入。
- 小林雅文、ダム湖上にて堀光男の制止を無視して「犬もなく、自分=神主が張った注連縄を、松本まりか=巫女に切らせる」という誤った儀式を実行、禍具魂を解き放ってしまう。
- 旧下鹿毛村住人、禍具魂から身を守るために犬を解き放つ。しかし禍具魂を防ぎ切れず犬は全滅する。石井潤子、矢野加奈、禍具魂に取り込まれて死亡。堀光男、矢野可奈の霊体を霊視し追跡。神社跡に残されていた祭壇を発見する。
- 小林雅文、祭壇にて禍具魂と接触する。
- 小林雅文、石井潤子と矢野加奈の死を確認し、取り残されていた少年を保護。堀光男、精神病院へ入院。
- 2004年4月12日 石井家から救助した少年=禍具魂を自宅で保護していた小林雅文の妻・小林景子、禍具魂を殺害しようと小林家へ乗り込んできた堀光男、禍具魂に取り込まれて死亡。小林家全焼。小林雅文、失踪。
- 2004年5月19日 小林雅文からテープの入ったビデオが杉書房に送られてくる。内容は小林家全焼事件の詳細映像。
- 2005年 『ノロイ』公開
出典:ノロイ(映画)
ツッコミどころ
小林のズームイン
近すぎだろ。ブルーレイじゃなくてもきつい。
小林の振り返ったあとの「こっちみんな」感
「・・・」って微妙な表情をするが、カメラを見つめてどうする。我々にどうしろというのだ。
小林のルポライターらしくない取材
そりゃ石井潤子に「なんでそんな言い方できるんだ」「言い方ァ!!」と怒られるわけだ。
非常にたどたどしい。これも禍具魂による呪いか?
どうして禍具魂を開放した
おそらく、小林と松本はダムに沈む前の最後の鬼祭を再現することによって、禍具魂を抑えようとしたのだが、完全に開放した。こいつらがまじで元凶。
カメラマン宮島はどうなった?
一切詳細不明。小林と同レベルに呪われていてもおかしくはないはず。
おそらく制作サイドによる手回しのフェイクブログ。綿密に作り上げられている。おそらく『かぐたば』にやれらた設定。
「ノロイ」における「かぐたば」に関する詳細を記している記事。非常にわかりやすい。
「ノロイ」における詳細を書いているwiki。全体を時系列順にまとめられており、非常にわかりやすい。また、客観的視点をより詳細にまとめられている。
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